cannes_2013

6月20日(木)カンヌレポート その4 – 社会を変えるidea –

こんにちは。山本恭裕です。

 

カンヌ2013も佳境に入ってきました。
ここ数日は、ショートリストやエントリー作品を浴びるようみて過ごしています。

 

その中でも本日は“社会を変えるような大きな課題を解決しているidea”をご紹介したいと思います。

 

まずはこちら。

 

ペルーの名門工科大学「UTEC(The University of Engineering and Technology)」が生み出した、空気から水を作る巨大看板です。

 



ペルーの首都のリマは砂漠地帯にあり、年間降水量が著しく少ないため、飲料水確保が大きな問題となっています。

 

そこで、UTECは大気中に含まれる湿気に着目。ペルーの湿度が98%あることを活かして、湿気を飲み水に変換するシステムを搭載した看板を設置しました。

 

結果は、この1つの看板で3ヶ月間に9,450リットルの飲料水を生み出すことに成功したそうです。この数値は、数百世帯の1ヶ月分の水消費量と同等だということ。

 

 

交通広告とテクノロジーを組み合わせることによって、ユーティリティー交通広告を発明したのがこの施策の一番のポイントです。
この地域だけでなく湿度が高いところでも流用して実施できる点も評価できます。

次にご紹介するのは、古い携帯を回収して、新しいアプリを入れて高齢者に寄付をするシンガポールのプロジェクト「Silverline」です。

Silverlineは、高齢者の健康管理と安全に特化した一連のアプリで、日本のらくらくホンのように、大きなアイコンやわかりやすくシンプルな表現を使用しています。
このSilverlineの中には5つのアプリがあり、携帯の連絡先アプリにあたる「Connect」、薬を飲む時間などを知らせるアラーム機能を提供する「Well Being」、シンガポールの警察や救急車にワンタップで緊急直通電話がかけられる「Emergency」など高齢者の健康や生活に特化したアプリを提供しています。
この施策は中古携帯が廃棄されることによって生じる環境問題だけでなく、高齢者の方が住みやすい世界を作っていくという社会問題を同時に解決していることが大きなポイントです。
水を作り出す交通広告も、Silverlineも、ある1つのものに、テクノロジーを組み合わせることで新しいものを作りあげていくことに広告の可能性の大きさを改めて感じました。

 

P.S
こちらはスーパーで見かけて購入したマークジェイコブスデザインのコカコーラボトルです。
思わずパッケージ買いをしてしまい流用ましたが、普段よくみるおなじみの製品がユニークなパッケージになると購入意欲が増してきますね。

 

では、次のカンヌレポートをお楽しみに。