どうも。プログラマーの貴田です。
この記事では、いちプログラマー貴田がSXSW2016で体験した、以下の2本立てのテーマで、帰国後のおまけレポートをさせて頂きます。
- 【前半】SXSW Interactiveのトレードショーに作品展示してみた感想
- 【後半】SXSWで気になったテクノロジー・現象を紹介
【前半】SXSW Interactiveのトレードショーに作品展示してみた感想
モノをテーブルの上にぽんとおくと、物体認識+プロジェクションマッピングで、あたかも魂が宿ったかのようにモノをキャラクター化して演出をしてくれるインタフェース「Hello World!」という作品を僕は展示していました。ギズモードさんにご紹介頂いた動画はこちら。
「Hello World!(https://t.co/uHCpFfS5iQ)」by HACKist ものを置くとそれを判別して、話し始めるテーブルです。YES/NOのボタンも出てくるのでものと会話しているような気分に #SXSW pic.twitter.com/ijdLqU0j0z
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) March 14, 2016
この作品について詳しい記事はまたのちほど書きます。今回はこの作品を展示して感じた、「SXSWのトレードショー」についての感想を書きます。
「この展示なんだろう?」と興味を持ってもらうためのキッカケづくりが重要
トレードショーにはたーくさん展示が並んでいるし、SXSWはトレードショーだけでなくセミナーなど見所は他にもたーくさんあります!そんな中、お客さんに自分の展示の説明を聞いてもらうために、トレードショーにおいては「気になってもらう仕掛けづくり」がとにかく大事だと感じました。いろんな展示をみて「気になる」を作るためには以下の要素は重要だなーと思いました。
- なんだか動いてる
- なんだか光ってる
- なんだかいい音楽が流れてる
- なんだかでかい
- なんだか変わったモノ・空間がある
- なんだか人だかりができている
SXCreateというトレードショーとは別のイベント会場にR2D2ロボがいたのですが、人だかりがわんさかできてて、動いて、光って、音楽流れるのはやっぱり正義だな!と思いました。
お客さんが多層で多視点で、展示作品の課題・伸びしろが浮き彫りになる
SXSWのトレードショーにはほんとにいろんな人がいろんな目的をもってきてるなーと感じました。
- 在籍:有名大企業の方々、ベンチャー、学生、オースティン在住の家族連れ
- 国籍:アメリカ、ヨーロッパ、アジア(日本人も含む)
- 年齢:こどもから、大人まで
- 職業:プログラマー、マーケティング、新規ビジネス開拓など
こんなに多様な人たちの多様な視点・価値観でのリアクション・要望・アイデアが得られるのはSXSWならではだな、と感じました。また、それによって、プロジェクトメンバーだけでは出せなかったであろう、展示作品の課題や伸びしろを明確に浮き彫りにすることができました。
海外のお客さんはリアクションが大きめな傾向にある
- ハイタッチ
- 握手求めてくる
- 口あんぐり
- “cool”
- “Awesome”
- “Nice”
- “Amazing”
- “I love this!”
などのリアクションをよく頂けて嬉しい限りでした。最初はこれで気分がよくなり、「いい反応だ〜。世界でも通用してる〜。」と思っていたのですが、海外の人のテンションはどうも日本人より平均が少し高いようで、「ふーん」くらいのニュアンスでこういうフレーズを言うこともあるようです。あんまり調子にのらずにいこう、と思いました。
おもいのほか技術的な情報交換ができる場でもある
プログラマーの僕が展示した中で得られた特有の反応としては、「だれが作ったの?」と聞かれて「僕がプログラマーだよ。」と答えると、技術的な情報交換をしてくれる人もおもいのほかいらっしゃったことです。 今回、展示していた作品の中でディープラーニングの手法を使っていたのですが、このテクノロジーには敏感に反応してくれる方が多く、「どの言語でやってるの?」「こういう方法使ったほうがいいんじゃない?」「おれはその技術使って、いまこんなことやってるよ」とフラットに技術的な意見交換ができる場でもありました。
【後半】SXSWで気になったテクノロジー・現象を紹介
SXSWの技術トレンドについて、すでに他のHACKistメンバーがロボット、Machine Learning、FinTech・VR・SmartData & SocialGoodについて触れていたり、他のSXSW2016のまとめ記事もいろいろ世に出回っているので、ぼくは特にテーマは設けず、ほんとに個人的にSXSWで気になったテクノロジー・現象の中で、あんまり他で紹介されていないものを、だだーっとご紹介させて頂ければとおもいます!
VRとアダルト産業 セミナー
今年のSXSWは本当にどこもかしこもVR祭りで、VR/AR Trackという特集カテゴリでは、「体感してみて、すごさがはじめてわかる」系の展示がいろいろありました。
- 特に、HTC Viveを使った、歩きや、手の動きをバーチャル世界に反映できるンテンツ展示が多かったです。センシング=>レンダリングの性能がよいらしく、ふだんVR酔いする僕が、ぜんぜん酔わずに没入できることにびっくりしました。
- NHKさんの8K+22.2ch立体音響 VRシアター「Aoi −碧− サカナクション」:サカナクション視点でライブ会場にいる大量のお客さんの顔がみえる映像があったのですが、8Kだと1人1人の小さいお客さんの顔がくっきりみえて、すげーってなりました。
- ドーム型の8Kシアター
その中で、VR Porn: Future Is Upon Us, What’s Next?というセミナーが特に気になりました。AV女優の方や、アダルトVR事業を手がけられてるCEOの方々が登壇し、「アダルトVRコンテンツ産業の市場規模は?」、「よいアダルトVRコンテンツの作り方は?」、などのテーマについて議論しておられました。セミナー後、男視点からのアダルトVRコンテンツ、女視点からのアダルトVRコンテンツのデモもあり、両方試してみました。やはりこいつも「体感してみて、すごさがはじめてわかる」系の展示だ・・・!と思いました。SXSWはこういう話題に関してもオープンで寛容なイベントだなと感じました。
NASAのMicrosoft HoloLensのデモ
Next for NASA: The Journey to MarsというセミナーではMicrosoft HoloLensのデモがみられました。2人で一つの3Dモデルについて協調作業するデモをしていました。Microsoft HoloLensはやくさわってみたい。
https://twitter.com/SteveMoraco/status/710930759452909568
リアルタイムに環境音をイコライジングしてくれるイヤホン
SXSWのINNOVATION AWARDのMUSIC&AUDIO部門を獲得した、Here Active Listening Systemがすごく面白そうでした。付属アプリとBluetooth通信をして、環境音の各周波数帯をリアルタイムにイコライジングできる、イヤホン型のデバイスです。「世界の音の聞こえ方を変える」というコンセプトで、聞きたくない騒音の周波数帯をカットしてノイズキャンセリングしたり、みんなと一緒に聞いてる音楽に自分専用のエコー・リバーブなどのエフェクトをかけたり、できるみたいです。耳の機能を拡張できるので、サイボーグ感があっておもしろいです。
Innovation Awardは部門賞を獲得してないファイナリストもおもしろいものがおおい
SXSW2016インタラクティブイノベーションアワードにおけるファイナリストの発表!!という記事にまとまっておりますが、個人的には以下の3つがとても気になりました。
Hackaball:子供たちが新しいゲームを発明したり、プレイすることができるボール。アクション検知できるセンサ、LED、スピーカー、バイブが搭載されており、アプリから新しいプログラムをインストールできる。
LUMO Play:どんなフロアもゲームに変えてしまうプロジェクター。自分でゲームを作ることもできる。
Collect & Connect Multi-User Interactive Table:3Dプリンタでつくったフィジカルな自分のアバターを操作して、複数ユーザでプレイできるインタラクティブなテーブルゲーム。
Collect And Connect Multi-User Interactive Table from Flightless on Vimeo.
鼻歌をもとに作曲してくれるアプリ
トレードショーでは、Samsungが「Hum On!」という鼻歌をもとに五線譜に採譜してくれたり、曲をロック風・R&B風などにアレンジしてくれるアプリを展示していました。アプリ公開時期は未定のようです。実際体験したトレードショーでのデモは気持ちよく動いていました。
空を人工流星で演出するプロジェクト
トレードショーからもう1つ、株式会社ALEさんがSky Canvasという、「空をキャンバスにみたて夜空を人工流星で演出するプロジェクト」の展示をされておりました。すごいロマンチックで、壮大なプロジェクトだな、と思いました。
触覚を変化させられるゲームコントローラー
トレードショーが行われていたコンベンションセンターから歩いて5分くらいのところでSONYのFuture Labというチームが触覚フィードバック付きのハプティクスコントローラーを展示していました。ソフトウェアでボールのマテリアルをゴム製、鉄製など変化させられて、そのボールが壁にぶつかると、その触覚がハード的にフィードバックされるゲームコントローラーです。動画では伝わらないと思いますが、実機デモではかなり高い解像度で触感が再現されていました。
曲に合わせて、自動でいい感じのVJを生成してくれるアプリ
SXSW Interactiveが終わった時期に、SXSW Music Gear Expoというのがはじまるのですが、そこでもいくつか音楽と連動するインタラクティブ系の展示があり中でも、synesthesiaという、音楽のビートや音量を解析して、自動でいい感じのVJを生成してくれるアプリがよかったです。
Hurley Piano Recital Introduction from synesthesia.live on Vimeo.
SXSWもすごかったけど、アメリカもすごい!
さいごに、SXSWがすごいってゆうか、これアメリカがすごいよね?、みたいなこともいくつかありました。
- クレジットカードがあれば現金持たなくても、屋台でも買い物ができるし、だいたい暮らせる
- Uberが朝早くても、夜遅くても、いつでも・どこでもつかまる。
- ゴミ処理マシーンが完全に未来
- ライブ会場でふつうにドローンが飛んでた
以上です。さいごのほうはただの感想になってしまいましたが、ここまで読んで頂いた方、長文にお付き合い頂きありがとうございました!