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【SXSW2017】sxsw = (Indie * Diversity) + unique;

4月ですね。
こんにちは。主にインタラクティブ系の開発とか山岳遭難対策事業やっております。Qawasakiです。

「SXSWこんな展示がありました」みたいなことを書こう書こうと思っていたら気がつけば帰国から随分と経ってしまっていて、その間に色々なレポート書いて公開されて、もう情報の鮮度も下がってるのでどうしたものかと思っていたのですが、時間が経つ事で自分の感じた情報が消化されて俯瞰出来てきたので、その辺りを書こうかなと思います。

SXSW、スタートアップとかテクノロジーに強い米国のお祭りってイメージがありますが、
近年では日本からの参加者も増え、今年は800人くらいとのことで、それこそ日本のアーティストが出るようなbarに行こうものならよっぽど表参道のFRIDAY’Sの方が海外来た感あるよね、という印象になってます。

800人て。

結論から言うと、「行ってみる、行ってみない」というより興味ある方は数回参加した方がいいなって思うんですよ。

一回は現地行ってみておこうって人も多いと思うのですが、なんというか、毎年見える景色は微妙に違います。
数万人が参加するSXSW、数万人の意図とお金が関わるのでその根本は変わらないのですが、地続きに少しずつ、少しずつ形を変えていくのを見て、「なんでそうなってるのか」を考えてみるのは楽しいし、潮流みたいなのを自分で定義つけるのも情報過多の世の中では思考の整理という意味で大変勉強になるのです。

テクノロジー視点でいうと、2015年の時はAIやVRみたいな先端と言われる技術もセミナーで触れられるくらいで、2016年になるとトレードショーもVR全盛になっていて、「これからはAIだっ!」みたいな議論が巻き起こりつつ、「SXSW SocialGood」って言葉が出て、その裏でFintechのスタートアップが賞賛されてたりして、うわぁこれはゴチャゴチャしてきたなぁと思っていて。

で、2017年はどうかというとそれがもっと加速してAIやVRは当然になり、テクノロジーの発達で人間の仕事奪われる、恩恵受けれるのは限定された富裕層だからそれをどうするか議論しよう、みたいな話があったりと、パッと見ではより情報が錯綜したように見えます。

が、しかし。

「多様性」という魔法の言葉を使うとこの錯綜してる感じがむしろまとまりがあるように思えます。
アート、テクノロジー、カルチャー、ビジネス。それぞれの視点があるじゃない、と。
これが1つ目のワード。

この視点、例をあげると日本から参加者のレポートで「日本よかったね」という人と「日本の事ばかりじゃなくてもっと全体で起きてることを見ようぜ」みたいな意見がぶつかっているのを聞くことがあって、それぞれ目的が違う人が多様性のあるお祭りに突っ込んでいくわけだからいろんな意見あっていいんじゃないかなと思う訳で。

結局、そこにあるのは「有象無象のいろんなモノとヒト」で、答えはないです。
これは恐らく何十年経っても変わらない気がする。

もう1つ、現地では我々出展してたのでセミナーもあまり見れてないのですが、街の中の空気とか出展されてる内容とかから鑑みるに、SXSWの本質って「雑多なインディー感」にあると今年は感じました。
これが2つ目のワード。上で言ってるのに近いんですが微妙に違う。

日本は真面目で敬虔、サムライ気質で堅実なお国柄、お祭りに参加してもどうしても目的を設定して、その達成を頑張ったり、作ったモノに「意味」をつけて、渡航した成果を何かしら会社持って帰りたい。
それはビジネスカードの数だったり、商談の結果だったり。

どうしてもそうなってしまい、作り物に対して「過剰な意味」を追求してコストもかかってしまう。
あと目的を限定することで範囲が狭くなってしまう。

なんとなく今までは出展するものについて「プロトタイプで粗すぎてもダメ」みたいな印象があったのですが
それを決めるのは多様な参加者のすべてになるので、追求してもあまり得はないのでは、と思うわけで。

多様な分、刺さるとこには刺さる。同じ感覚を持った誰かには絶対刺さる、という感じなので、作り物に対して自分たちの定義は持ちつつ、多様な人にそのプロダクトやコンテンツの「意味」を見つけてもらうくらいでも良いのかなと思いました。

我々のブースで複数置いている中に「RePHub」っていうコンセプトモデル的なシェアリングものを出していて、ブースのその場には現物も何もない、置いてあるのはロゴ入りのパズルだけ、というアナーキーな出展物があったのですが、稀にコンセプトボードをじっと見て、「ビジネスになるぞ」といってくださる感性の人がいました。

脳内を見学させてもらいたい気持ちでいっぱいですが、そこに行き着くまでのロジックは確実にその人の頭の中にはある。これはすごいことです。余白があって答えを提示しないでも答えを発見する人がいる場所、テキサス。

粗さについては優先度を下げてまずは出してみる→個々の受け取りてがそこに「何が良いか」をそれぞれがつける。
これはアーティストでいうところの「ヤバいTシャツ屋さん」的なやり方。
見た人がそれぞれにこれはなんか、いけるんじゃないかという回答を見つけて結果的に売れていくという。
演奏のスキルとかメッセージ性じゃなくて大事なのは「世界観」。

Musicの色も強いSXSWですが音楽もプロダクトも規模に関係なく独自性のあるもの、自分たちが良いと思うものを追求してるところに良さがあります。この感覚はフジロックに近いかなって思っていてフジロックって世界的に有名無名それぞれのレイヤーで出演していて、日本のアーティスト見ても仕方ないっていう人もいればヘッドライナーだけ見てあとは自由な空気を楽しむのが好きな人もいれば、知らない音楽を発掘するために、とにかく色んなステージ回る人もいる。

そうやって「多様な人が好きなように楽しむ」という姿勢自体が場を作っていくのであって、どれだけ人を集めたかとか、どんなパフォーマンスしたか、は大して重要ではない。SXSWも同じようなものなのではと思うわけです。

個人的に今年のSXSWでよかった事といえば、謎の米国スタートアップのCTOみたいな人が来て「俺のところP2P通信とBLEでメッシュネットワーク作るプロダクトやってるから、お前エンジニアならSDK使ってみて!」ってその場でSDKのダウンロードリンクくれて、これがまた日本だと見た事ないって技術で、そういうのが「たまたま」得られるのは醍醐味だな、と思いました。多分、このSDK持ってるの日本では数人な気がする。

ということで、先端テックとか未来の答えをSXSWに探しに行ってはいけない。
だってインディーズなのだもの。というのが現時点での見解です。

じゃあどういう事のが来年のSXSWではポイントになるのかというと、それは我々もこれから1年(準備踏まえると数ヶ月。。)考えるのですが、ただ、おそらくポイントは個々に違って良いのかなと思います。
だって多様性ですもの。

個人的には、次世代テクノロジーという視点で見るならば「ブロックチェーン。だけど、すでに日本は出遅れ感あるので世の中でまだやられてないブロックチェーンの使い方」を発見してその定義をつける、みたいな方向に今は興味があります。
それか、電子ドラムとカホンを制御してバキバキした楽器つくりたい。

では。
※来年、HACKistいくかは未定です※