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6月21日&22日、カンヌレポート①:博報堂セミナーとセレモニー初日

こんにちは、嶋田です。
今年も「カンヌライオンズ・International Festival of Creativity」の時期となりました。

今回は第62回、フェスティバルの名称から「広告祭」の文字が消えてすでに数年が経ち、
参加者の間でも「この施策って広告?プロダクト開発?デジタルプラットフォーム導入?」などの区分や混乱も少なくなり、
広告やコミュニケーションの意味を広義で捉え、「生活者を動かす、プロダクトを購入・体験させる」
「世の中や社会を変える」ためにどのようなクリエイティブが有効か、
一過性に終わらず中長期で見て汎用性がどれだけあるか、を議論し、審査されるようになってきた印象があります。

博報堂アイ・スタジオからは、ヤングライオン・サイバー部門日本代表を含む現地視察隊が組まれ、
世界のクリエイティブの動きを把握して現業に反映する動きを生み出すとともに、
ヤングライオン部門で良い結果を残すべく、現地入りをしています。

初日(6/20日曜日)は早速博報堂のセミナーが開催されました。
このタイミングでセッションを開催するようになって3年目。
人の入りを見ても、カンヌでの博報堂セミナーの評判が確実なものとなってきたことを感じます。
セミナー告知バナーも大規模になっています(笑)

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セミナーが始まる前の休み時間、ぼくの隣に座っていた参加者が明らかにアジア系ではなかったので、
興味本位で「アジアビジネスや博報堂に関心を持っているの?」と聞いたところ、
南アフリカでソーシャルメディア運用に携わっている会社の役員で、
現地で唯一のFacebook公式パートナーの会社からきているとのことでした。
彼曰く「去年も博報堂セミナーを聞いて、すごく面白かったし、タメになった。今年もすごく楽しみ!」とも。

今年のセミナーのタイトルは’Zen meets Anime’ということで、
背景にある日本文化をひもときながら、
日本ならではのクリエイティブのあり方や進化について紹介がされました。

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シンプルさを追求する「禅の美」と、
カオス・コミュニティや社会への拡散に重きを置く「アニメの独自性」を題材とし、
二つの性質の異なるものをうまくブレンド・衝突させることでクリエイティブにもブレイクスルーが生まれる、
というストーリーです。

視点としては以下の4つが提示され、それぞれに関連する事例が紹介されました

<1>Traditional←→Innovation
<2>Dignity←→Pop
<3>Still←→Motion
<4>Science←→Emotion

この中の<2>では、
メルセデスベンツ日本のGLA(スーパーマリオ起用)のキャンペーンが紹介されましたが、
このWEB版を弊社メンバーが制作に携わっており、
デジタル施策に限った中でも「Dignity(メルセデスというプレミアムブランド)」が
「ポップカルチャー(スーパーマリオ)」と出会うとどんなことが起こるか/できるか、を
体現してくれていると思います。

セミナー自体は他にも多くのインサイト溢れる事例が紹介され、
日曜午後の時間帯にもかかわらず、途中退席する人はほぼゼロ、終了後満場からの拍手、などを記録しました。

このセミナーで紹介されたように、
性質の全く異なるものを結びつける(それこそが、’ZEN meets ANIME’)プランニングの方法、
強制連想法などは、これからのワークスタイルとして定着させていきたいですね。

また、22日の夜には最初のAward Ceremonyが行なわれました。
部門は「プロモ&アクティベーション」「ダイレクト」「プレス」「モバイル」の4部門。

中でも、モバイル部門の審査員長のコメントが印象的で、
「本当に生活者の行動を変えることができたのか」を中心に評価がされたとのことです。
また、僕がある審査員の方から聞いたのは「マルチデバイスをきちんと活用できているか」
「他のブランド・地域でも活用できるような汎用性を持っているか(=一過性の賑やかしではない)」
「この先の社会やモバイル・コミュニケーションを変革できるか」などの視点で審査が行われたようで、
部門自体に注目がますます集まる中、相当厳しい審査プロセスが行われていたようです。

そしてモバイルのグランプリはこちら。
GoogleがAndroidを活用したVRキットを制作し、
オープンプラットフォームで開発者の参加を促したものです。
開始から1年弱で600のアプリが開発されているという成果を収めています。

この他、気になったゴールド作品は以下の作品になります(全てのゴールド受賞作品ではありません)。

Clever buoy (オーストラリア)


The Pursuit of Equinox (U.S.)


Hammerhead (U.S.)


いずれの施策の中でもモバイルデバイス(i.e.スマホ)は重要な役割を収めているのですが、
昨今のモバイル部門の受賞作を見ていると、ひとつのアプリ自体がコア施策になることが明らかに減少し、
「生活者(企業)の持つモバイル端末」を、市場や社会の中でどのように位置付け、
生活者行動への革新を起こすのか?という形での「モバイル」の活用と、
キャンペーンの開発が主流になっていることがわかります。

また、モバイルは全部で8個のゴールド(+グランプリ1件)があったのですが、
そのうち3件がR/GA New Yorkの手によるものでした。
今年のカンヌにおける目玉のデジタルエージェンシーとなりそうな予感がすでに漂っています。

引き続き、我々独自の目線で第62回カンヌライオンズの状況を報告してまいります。
ご期待ください!