どうも。プランナーの野田@Drawです。Hackistブログにお邪魔します。
別に言わなくていいのにあえて言いますが、
今回初のカンヌなのに空港でパスポートの残存期限が足りないことに気付き、
恥ずかしながら4日遅れでやってまいりました。ご迷惑おかけしました。
さて、そんな感じでこれまでのレポートはプロデュース目線、アートディレクター目線、エンジニア目線、
それぞれの目線でカンヌを見てきましたが、僕からはプランナー目線で率直に思った感想を述べたいと思います。
ここ数年の流れであるソーシャルグッドの傾向。
各所で語られていますが、社会課題に切り込むことでブランドの価値を上げるということ。
単なる商品広告によって生活者を動かすことに留まらず、社会や文化を変えるほどのクリエイティブ。
すなわち課題の顕在化と解決、コトやモノの発明。
それはもう否定のしようがない”良いコト広告”なわけですし、
新たなビジネスにも繋がっていく可能性がある、これからの未来なわけです。
そんなこともあり、今回自分が見るべきポイントとして事前に設定したことが
「ブランド課題と社会課題の紐付け方」でした。
今年もまさしくその流れでしたし、見ていて本当に心を打たれました。
だけどこうソーシャルグッドばかりだと、その流れに逆らいたくなってくるのが自分の性。
やっぱり僕は単純かつ純粋に一個人を楽しませるような、見る人を「笑わせてやろう」「驚かせてやろう」「楽しませてやろう」
そんな”企み”や”いたずら心”を感じるクリエイティブやアイデアが大好きだと改めて思いました。
理由としては”楽しい”からです。自分自身が企画していて楽しい。
これを世に出したらどんな反応するかな?なんて想像しながら目一杯遊び心をいれる。
自分の仕事もそういうものばかりだからでしょうが、やっぱり僕はこの手のものを手掛けていきたい。
そしてユーザーを楽しませたい。
そんな愛すべき世界のバカアイデアをいくつかご紹介です。
■#HandsOff
ダイレクト部門ゴールド。フランスのポルノメーカー・MARC DORCELによる施策。
みなさんもきっとお世話になっているであろうネット上の無料アダルトビデオ。
これのせいで同社が提供する“月額9.99ユーロの高画質ポルノフィルム視聴サービス”は伸び悩んでいました。
(僕は有料サービスに契約してしまうタイプです)
そこで「#HandsOff」では同社が保有する高画質のアダルトビデオを”条件付き”で公開しました。
それはキーボードの[Q][S][P][L]を同時に押さないと視聴できないという条件。
これでは例の行為ができませんね。
さらに面白いのはこれ受けたユーザーの知恵と工夫の数々。
インターネットの文化はエロが広げたものですから、これくらいは朝飯前。
最高ですよねもう。これですよ。ユーザーの反応まで計算して思いっきり楽しませようってのが分かります。
企画する上では非常に重要だと思います。人の行動から逆算してアイデアを出す。
だから無理が無いし広がりがある。ユーザーも突かれて気持ちよいところを突かれているから楽しい。
ちなみに有料加入者数50倍にアップという結果となったそうです。
■THE INTERACTIVE FORM
ダイレクト部門ゴールド。フランスのエンタメチャンネルのCANAL+による施策。
あるあるでしかありませんが、オンライン加入のフォームが非常に面倒で面白くないと。
そこで女装したキャラクター「キャサリン&リリアン」を立て、
インタラクティブ性とエンタメ性を持たせた応募フォームを用意しました。
残念ながらフランス語は分からないので何を言ってるかわかりませんが、動画を見るだけで伝わります。
こんなフォームなら楽しく入力できそうです。
これも相当シンプルな設計。「入力フォームが退屈だから楽しくする」以上です。
アイデアは一言で言えるほどシンプルであるべきで、それぐらいがユーザーには丁度良い。
■WIN CHRISTMAS
イギリスの高級レザーグッズのブランド、Mulberry(マルベリー)によるクリスマスムービー。
イギリスのある家庭のクリスマス。皆、娘に最高のプレゼントを贈るために競い合います。いったい誰が勝つのでしょう?
といった感じで皆がプレゼントを娘に贈ります。そのオチと皆の表情の描き方が最高。
これも人の心理を突いてますよね。
僕もプレゼントもらったことありますが、究極ぶっちゃけると現金が一番嬉しいですからね。
手作りの何かとか非常にいらないです。
というところで「結局物欲だろ」みたいな誰しも思ってるけど、こんなクリスマスの素敵なシーンで言っちゃだめだろと笑
それをマルベリーがやるのが最高に面白いですし、このムービーがきっかけで逆にプレゼントしやすいですよね。
素敵な作品だと思います。
といった感じでカンヌ2015から3作品をご紹介しました。
ソーシャルグッドは素敵ですが、途上国などと比べ社会課題が顕在化していない日本においては、
潜在的に潜む課題をいかに発見できるかが大事だと思います。
でもそういうことも一旦忘れて、こういう最高にバカっぽい作品があったことが個人的に嬉しかった。
技術が進歩し出来る事もたくさん増えましたが、ある意味視点を改めるだけで十分。
今も昔も変わらない大事なことは着眼点と発想力。
では、次は壇上に立ちたいと思います。