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【SXSW 2016】SXSWからみたロボット事情

Hi,everyone!
今回SXSWに初参戦させていただいた江頭です。

トレードショーも無事終わり、
私がメインに案内させていただいたPOSTIEもたくさんの人にタッチ・アンド・トライしていただき、
非常に良いリアクションを頂きました。

展示していて非常に面白かったのは、お客様がアプリを操作するときに躓くところ、”Oh,Cute!”となる
場所がだいたい同じところであったところです。

当然、前者についてはUI/UXの改善のポイントとして見直していきたいし、
後者についてはこのクリエイティブ性もさらにブラッシュアップして突き詰めていきたいと思いました。


製品化のための8,000米ドルの調達を目指し、クラウドファンディングのプロジェクトをIndiegogoにて実施しています。
最終プロダクトのときには、三栄電気製の高品質のサーマルプリンタになりますのでこれが$99というのはかなりサプライズプライスです。
台数限定なのでお早めに!

POSTIE : Indiegogoのページ

さて話は本日の記事の本題ですが、
日本でも昨今ソフトバンクロボティクスからPepperがリリースされ、第三次ロボットブームという感じになっており、シャープのRoboHonも6月に発売?などという話題にもなっています。

そこでSXSWという世界的なイベントから見て”ロボット”がどういう感じなのかという切り口でレポートを書きたいと思います。

コンベンションセンターにはほとんどロボットの展示がない!!!

まずコンベンションセンターで行われていたトレードショー、我々HACKistでもここで展示していましたが、
なんと、ほとんどロボットが展示していませんでした。

ロボットらしいロボットとして展示していたのはSAVE THE AMERICA INNVENTORのブースで展開されていたプロモーション用ロボットとVargina TechのブースでDARPAで出てきたロボット(こちらは動いておらず)が展示されているくらいというちょっと寂しい感じでした。

しかし、コンベンションセンター外ですぐ近くにIBMの“IBM Cognitive Studio”があり、ここでは日本でお馴染みのPepperとNAOがいたのです。

全体的にロボットの展示が少ないと思っていましたが、
なんとコンベンションセンターからちょっと離れていたPalmer Events Centerというところで3/13まで行われていた”SX Create 2016”といういわゆるミニMaker Faire的なイベントが開催されており、ここでいろんなロボットが登場していました。



やはりロボットを見ると子ども心で気持ちが上がってきますね。
テンションがMAXになりました(笑)

今回ロボットの展示をみてのロボットの研究および活用については、
世界的な流れでは以下の文脈で活用されていくのかなと感じています。

AI ✕ ロボット

この流れではIBMが持っているWatsonを活用した事例としてNAOがAIの技術を駆使してジャンケンをしているデモがありました。

Nvidiaのブースでは昨年販売開始したJetson TX1を活用したディープラーニングのデモや、
GPU環境下で動くデプスセンサが搭載された3DステレオカメラZEDのデモなどが展示されており、
非常にコンパクトなサイズのGPU”Jetson”シリーズや公開されているディープラーニングSDKやライブラリなどを活用したNvidia製品の可能性を提案しています。 

組込の利用を意識されているサイズなので、これからロボットへの応用もどんどん出てくるのでしょうね。

トレードショーのミシガン大学のブースでは、レーザーレンジセンサーやデプスセンサーなどを取り付けた車体ロボットが自律運転するのための学習をしているデモがありました。

自律運転も非常に注目されている技術なので、この先が楽しみです。
ちなみにブースの展示員にマシンガントークを炸裂され、半分何言っているかわかりませんでしたが(笑)

これらは研究フェーズのものばかりですが、
ロボットブームと合わせてみんなで盛り上げて進めていってほしいですね。

STEM教育 ✕ ロボット

この文脈でのロボットの活用事例のデモはSX Createでの展示がほとんどでしたが、
確かに子どもからすれば、学んだものが動けばモチベーションが上がるし、学びも早いかなと感じます。

STEMはScience, Technology, Engineering and Mathの略であり、
ビジュアルプログラミングの学習をメインとしてロボットを使われているケースが多いのですが、

これだけにとどまらずCreative(創造性)がアドオンされているケースが多く、
STEM教育にはさらにCreative(創造性)の向上も期待されていることが伺えます。

噂のコミュニケーションロボット”Jibo”

なんとクラウドファンディングで総額で6,000万米ドルもの資金調達している噂のコミュニケーションロボット“Jibo”が出展されていました。
デリバリー時期も遅れていていろいろな噂もあったのですが、直にみたところ以下のことが現状かなと思います。

・首まわりの制御が非常になめらか
Jiboは3軸のモータで首まわりの動きを制御していますが、これはコンセプトムービ同様に非常になめらかな動きで、
キャラクターを立たせるような可愛らしい動きが実現できていました。
(こういうのが実はロボットに必要なUXの一つですよね)

・認識系のデモを一切やってない

対して残念だったのが、FaceRecognizitionやVoiceRecognizition、
それに対するText-to-Speechなどのファンクションがあるはずなのですが、
これらのデモが一切見られなかったことでしょうか。

またSDKのデモも見ることができて感激でした!

これらをまとめるとJiboに対する過剰な期待といろいろと懸念されている噂を足して2で割ったような感じでしょうか。

「A Robot Companion:Human’s Best Friend」というテーマでJiboチームがセミナーを行っていました。

内容は、ロボットの方向性として実用性と感情的な関わりあい(いわゆる愛着)の2軸がありますが、
この両軸を家庭用向けに開発したのがコンパニオンロボット”Jibo”で、この存在が新しい形で人々を手助けしてくれ、
生活内での創造性と想像力を高めてくれるだろうというものです。

セミナー後にはJiboチームの人にいくつか質問してみました。
(注)英語で聞いているよ的な口調にしています。

Q1. 結局デリバリーっていつになるの?
今年の真ん中の時期だよ。(つまり夏くらい?)そうだね。

Q2. SDKって公開するの?
よく聞いてくれた、SDKだね。来月くらいには公開だよするんだよ。楽しみにしてくれ!

Q3. SDKで使える言語って何?
JavaScriptだよ。JavaScriptはWebエンジニアの言語じゃないか。だから非常に大きい開発者ターゲットになるのさ、元々のFlasherも多いだろうし、そういう人が開発できるデスクトップアプリとしてのSDKを採用したんだ。

Q4. JavaScript。。。このSDKのデスクトップ・アプリケーションってElectronつかってるの?
おー、よくご存知だね! JavaScriptで開発できるElectronを採用しているんだよ

Q5. でもElectronってさ、脆、、、
これはかなり挑戦的な質問してしまったため表情が変わった瞬間だったので、ここで掲載はやめておきます。すみません。

Jiboステッカーももらい早速PCに貼っちゃいました。
個人的にはかなり応援しているプロジェクトですし、まずはSDK公開ということなので、来月が非常に楽しみです。

総括

SXSWからだとTechトレンドの中心軸からロボットがちょっと逸れてきているのかなと感じつつも、「AI」「STEM」「家庭用コミュニケーション」と活用の方向性が確立されてきていると感じました。
これらは研究、学習、コンパニオンと実用性レイヤー自体が全く異なるものですが、レイヤーが違うだけに、これらは将来的には合致していくものだと思います。

現時点でロボットUXは何が正解かという答えは出ていないですが、「実用性がわからない」「それって必要?」という覚めた目線でロボットと付き合うのではなく、世界中のみんなでロボットについて考え、盛り上げていきデファクトスタンダードなインターフェースとなる未来になることを期待しています。